2019年の年頭所感

皆様、明けましておめでとうございます。

世界情勢は“fragile”

 2018年は当社もそうですが、IT業界、他業界問わず、過去最高益予測のニュースが続いていました。ですが、年末辺りからマイナスのニュースが飛び交うようになり、世界的な株価暴落を伴うなど、ここに来て不安定な様相を呈してきました。

 ある経済学者は2019年を“fragile(壊れやすい、もろい)”と表現しています。

 大きなところでは2大大国である米中の貿易合戦、アメリカの長短金利の逆転現象(逆イールドカーブ)や中国の経済悪化が世界全体に不安を与えています。
 欧州でも、長年、EUのリーダーとして引っ張ってきたメルケル首相が党首を辞任し、同じくEUの2大リーダー国であるフランスのマクロン大統領も大規模なデモに見舞われ、増税撤回に追い込まれています。EU離脱決定から1年以上経った現在でもイギリスのメイ首相は国内を纏められないままでいます。
 アジアや南米の開発途上国においてもアメリカの金利上昇の影響で自国の通貨価値が下がり、再度のデフォルトもあり得るような苦しい状況に置かれている国も目にします。
 日本に目を向けると、2025年の大阪万博の開催が決まり、2020年の東京オリンピックまでかと囁かれていた国内成長の不安は和らいだものの、消費税増税による経済不況の不安は拭えていません。このところの株価暴落で、直前での増税取りやめもあるのではと新聞記事等は噂しています。

ITニーズはモノ(システム)からコト(仕組み)へ

 2019年の概況としてはこれまでのゆるやかな好景気が終わり、厳しくなるのではないかと予想される反面、IT業界には益々、期待がかかる年となるでしょう。
 今年も各業界トップが生産性の向上や働き方改革の解決にITを年頭のキーワードとしてあげています。昨年からAIやRPA(当社もWinActorの販売代理店となりました)の製品も急速に普及し、実践段階に入ってきた気がします。最近ではDX(デジタルによる変革)やPoC(概念実証)という言葉も良く目にするようになりました。
 今やシステム化のために投資する企業はありません。我々のお客様も業務改革や新規事業の実現のために投資しています。ITニーズはモノ作りからコト作りへと変化しています。我々もそのニーズの変化に対応しなければなりません。

当社の強みは「寄り添う力」

 そのようにニーズが変化している中で「ここ数年、実績をあげ続けている当社の強みは何だろう?」と考えました。
 当社の強みは「お客様に寄り添う力」だと思います。
 日本は震災が多い国です。2018年を代表する漢字も「災」でした。
 2011年の東日本大震災以降、お客様は単に高い技術力や契約書に書かれているサービス内容でIT企業を選ぶのではなく、いざとなった時の対応力や協力度で選ぶ傾向が強くなってきているそうです。お客様の緊急トラブルやその先のお客様であるユーザーが困っていたら、自分事として受け止め、解決していく社員の姿勢が評価され、50年の歴史に繋がってきたのだと思います。

100年企業へ向けて一番重要なのはヒト作り

 当社も今年度は51年目となり、新体制でスタートしました。
 既存社員の活躍はもちろん、創業者をはじめ、多くの先輩方の頑張りがあったおかげで、100年企業へ向けて良い再スタートが出来ました。
 これからは我々の番だと思います。我々のこれからの頑張りが100周年にあたる次の50年後のエスピックを作っていきます。
 世界では、GAFAと呼ぼれるITのプラットフォーマー企業が席巻していますが、当社は人と人を繋ぐプラットフォーマーを目指していくべきだと思います。
 そのためには、それを担う人財の育成が一番重要です。
 システム構築というモノ作りを通じて、人が中心となる豊かな社会を目指したコト(仕組み)作りを実践していますが、我々自身が「共生の社会」を担うキャプテンとして相応しい人財へと成長するようヒト作りにも一層、力をいれていきたいと思います。

皆で力を合わせて、切磋琢磨し、一歩一歩、成長していきましょう。

 

2019年1月7日

株式会社エスピック 代表取締役 白川 満貴