2021年の年頭所感

皆様、明けましておめでとうございます。

コロナ一色の2020年

2020年は新型コロナ一色の一年でした。
未知のウィルスが世界中で感染拡大し、2020年末には、感染者は8千万人を超えました。政治や経済も大混乱に陥り、東京五輪は延期という前代未聞の事態に直面しました。2021年という新たな年となりましたが、日本を含め世界中で感染者はまだまだ増加している状況です。
英国など一部の国では、既にワクチンを打ち始めているようですが、まだ効果の程はわかりません。2021年はwithコロナからafterコロナのフェーズに移ると考えられていますが、もう暫くはコロナとの共生は続きそうです。

ニューノーマルの意味するもの

コロナ禍ではサプライチェーンや印鑑文化の問題など社会や企業の様々な問題点があぶりだされ、私達の生活も変化を余儀なくされました。会議や採用、研修もこの1年ですっかりオンライン化が進みました。
最近は「ニューノーマル」という言葉も定着してきたと思います。
もともとは、金融危機後に、景気が回復しても以前の状態には戻らないといった意味で経済学者から生まれた言葉だそうです。
コロナ禍では、「新しい日常」という意味で使われているようですが、この言葉の意味することは、単にテレワークが増えていくといった働き方改革の延長に止まらず、仕事に対する価値観自体が変化していくのだと思います。
これまでは、同じような時間に出社し、均一な労働時間で管理し管理されるインプット中心の働き方でした。インプット中心の働き方だと、同じオフィスで一緒に仕事していますので、仕事の中身もそうですが、姿勢も重視されます。遅めに出社して、早めに帰ったりすると、何か少し後ろめたい気持ちになった経験をされた方も結構いると思います。これからは社会全体で裁量労働制が益々進み、働く場所は様々で、仕事に使う時間も少なくても良い。その代わり、個々の成果を求められるアウトプット中心の働き方にシフトしていくのだと思います。
つまり、「社員それぞれが自分のライフスタイルを持ち、社会にどんな価値を提供するかによって、自分という個性を表現していける時代」が来ると思います。

IT業界が求められる成果、価値とは

では、これから私達が求められる成果、価値とは何か?
大きく二つの力が求められると思います。
 
一つは単にシステムを開発、保守するエンジニアとしての力ではなく総合的なコンサルティング力です。
 
昨年は、世界的に有名な製薬会社であるお客様の事業が移管されるにあたり、システム開発だけでなく日本で営業を始めるための立ち上げ業務全般を当社が支援させて頂く機会がありました。その支援内容が評価され、年末には「エスピックさんが担当してくれるなら安心。」とういう感謝の言葉と共に盾と賞状を頂きました。
今回表彰されたプロジェクトのように事業化や、グローバル対応、その拠点での営業力強化といったお客様の経営戦略そのものへの支援を行う業務が増えていくことによって、当社が事業ビジョンに掲げている「共生の社会を目指した総合コンサルティング企業」に一歩近づいていけるのだと思います。
ITは道具です。その道具を使ってどんな価値を実現するか、私達がどんな価値を提供できるかが益々、重要になってくると思います。
 
もう一つの大切な力はチーム力です。
 
コロナ禍では、テレワークが増え、個人で表彰されることが多くなるのではと予測していました。結果は逆でお客様からチームに対する褒章、お褒めの言葉を頂く機会が増えています。
こういう時こそチーム力が求められているのだと思います。私達IT業界はまだ好況な業界だと言われていますが、お客様の業界の不況が続くと、IT業界もやがて選別され、自然淘汰が進んできます。
チャールズ・ダーウィンは著書の中で「成員の多くが高い愛着心と忠誠心、服従心、勇気、思いやりを持ち、つねに助け合い、全員のために自分を犠牲にする覚悟がある部族は、ほかの多くの部族に対して勝利を収める。これが自然淘汰である」と表現しています。
忠誠心、服従心や犠牲という言葉には現代では強い違和感を抱きますが、別の表現をすれば、「チーム力を強めないと逆境では生き残れないよ」ということなのだろうと思います。
 
在宅勤務が進み、家庭で仕事が出来ることが分かってきました。オフィスを廃止し、又は縮小する企業も現れてきました。家庭が仕事場になっていくと、会社は逆に、社員が定期的に集まり、人が触れ合うホームの存在になってくると思います。
これまでの社員総会のように全社で一堂に会して知恵を出し合うといったやり方では暫くは出来そうにありませんが、昨年はワーケーションにトライアルしたプロジェクトも出てきました。今後もチームやプロジェクトの少人数のコアメンバーで集まりフェーストウフェースの対話の時間をしっかり持つことがチーム力を高める第一歩だと思います。

未来は予測するものではなく、創っていくもの

(2021年1月5日現在、)今週中にでも、政府は再度の緊急事態宣言を出す予定です。
先行きは不透明で、今、暫くは経済的な逆境が続くと予想されます。
しかし、逆境こそが人が成長するチャンスだと思います。
こういう時こそ、私達社員が成長することによっていい会社やいい社会を創るという「Good People Company」という理念に原点回帰し、理想の未来を創っていきたいと思います。
 
私達の現在の成長はリーマンショックがきっかけでした。
この2021年も後で振り返った時、新たな進歩のきっかけだったと言えるような一年にしていきましょう。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2021年1月5日

株式会社エスピック 代表取締役 白川 満貴