2022年の年頭所感

皆様、明けましておめでとうございます。

コロナ禍が続いた2021年

2021年当初はオリンピックが開催されれば、それを契機に世界中が交流を再開できるのではないかといった観点からafterコロナという考え方やウイルスをある程度コントロール出来た状態でのコロナとの共生が目指されてスタートした1年でした。ただ、結果的には変異種が世界中で猛威を振るい医療機関も逼迫した状態で、オリンピックも無観客となるなど前年以上にコロナに振り回された年だったと思います。
日本でも年間の6割を超える230日以上に渡って、いずれかの地域が緊急事態宣言下にあったことになり、日々の暮らしの中ではマスクを常につけ、旅行や飲食など行動が制限されている状況がもはや普通に感じられる1年でした。社内行事においても社員旅行や全社を挙げての忘年会や新人歓迎会を普通に開催出来ていたことがとても懐かしく感じられます。
新年の年賀状のやりとりでは、「在宅勤務で業務に支障はありませんが、たまに出社して直接話したりすることでリフレッシュになっています。」「メールやWebミーティングではない雑談レベルの意見交換をやりたい気持ちでいっぱいです。」といったコメントが印象的でした。

オリンピックで感じた共生の精神や人間力

このような閉塞感に満ちた日常の中でも感動を与えてくれたのが東京オリンピックやパラリンピックだったのではないかと思います。様々な競技で日本人選手が活躍し、自国開催で多くのメダルを獲得してくれました。感動したシーンも様々ありました。その中でも特に私が印象に残ったシーンが2つあります。1つは「スケートボード・女子パーク決勝」です。15歳の岡本碧優(みすぐ)選手は最後に転倒し、惜しくも4位となりました。すると、同年代の外国の選手たちが涙を流す岡本選手のもとに駆け寄り、みんなで担ぎ上げて健闘をたたえました。この場面に限らず、スケボーの若い選手達は仲間が大技に成功したら一緒に喜び、失敗したら一緒に残念がっていました。国籍や勝敗を超えて共に喜び、共に悲しむ姿は「分断」という言葉で表されている現在の世界において、とても有意義で大切なことなのではないかと感じました。もう一つは柔道で金メダルを取った大野将平選手です。大野選手は相手に敬意を払い、礼で始まり、礼で終わる武道の精神を貫いていました。勝った喜びをその場で素直に表す選手が増えている中で、一緒に戦った相手のことを思いやれる大野選手は人間的にも超一流だと感じました。
 
スポーツに限らず、ビジネスでも成功している人には必ずといっていいほど、人間力を感じます。昨年は当社においてもそういった人が増えてきているなと感じたことがありました。毎年、最終面接での志望理由では面接官やリクルーターなど、会った人で決めましたと答える学生が多いです。2022年度入社の新卒採用では、一人の個人ではなく、会った人全てが良かったからと答えた学生が一番多かった印象です。また、毎年行っているストレスチェックでも2021年度は「同僚からのサポート」という項目が伸びていました。困っている学生や仲間に対して、親身になって相談にのってあげている社員が増えてきていると思うと大変嬉しく思います。

共生の社会を目指した総合コンサルタント企業へ向けて

事業においては、ここ数年、大型案件の受注が順調に伸びてきています。それに併せて、お客様から求められている期待や品質のレベルも年々、上がってきている気がします。全社を見渡すと、ある業界では、新しいサービスや事業を立ち上げる度に当社に声をかけて頂いているお客様がいらっしゃいます。そのお客様にとっては、まさに「IT投資は事業戦略そのもの」です。当社が手掛けたシステムの良し悪しがお客様の業績に影響を与えることになります。
医療業界においては業界全体で当社が創ったシステムを毎日使って業務が行われております。この業界のお客様にとっては当社のシステムは「なくてはならない社会インフラ」の一つだと認識されていると思います。
システム開発だけでなくヘルプデスクや様々なITサポート業務も今やお客様にとっては、生産性の向上や働き方改革を担う「次の一手」となってきました。
徐々にですが、事業ビジョンに掲げている「共生の社会を目指した総合コンサルタント企業」に近づけていると実感しています。
今後もシステム開発や保守という従来のITベンダーの視点ではなくお客様の経営課題や社会課題を解決していく大きな視点での「価値の提供」が求められてくると思います。
事業ビジョンの実現へ向けては、一人一人が目の前のお客様が求めている潜在ニーズに気付き、意識して自分の視野を広げ、視座を高めていくことで実現出来ると思います。
一歩一歩、成長していきましょう。

花の命の源は水、人の命の源は言葉や会話

2022年をスタートするにあたって、今一番大切なものは何かと考えてみました。
きっかけは、私の執務室で咲いた花です。社長就任時に観葉植物を頂きました。お客様からの頂きものなので枯らしたらまずいと思い、毎週、水をあげていました。そうしたら、4年目になって初めて花が咲きました。その観葉植物に花が咲くことも知りませんでしたが、年末のある日、一斉に咲いた花を見つけて、改めて花の命の源は水だと感じ入りました。
では花にとっての水のように人間の命の源は何だろうと考えました。
人間の命の源は言葉や会話だと思います。
テレワーク中心の業務ではどうしても必要最低限のコミュニケーションとなってしまいがちです。冒頭でも触れましたが雑談レベルの会話がどうしても不足してしまいます。人は話を聞いてもらえないと孤独を感じるそうです。孤独は、1日14本の喫煙よりも健康に悪い影響を及ぼすということが研究でわかってきています。実際、心臓病、脳卒中、認知症、免疫機能不全などには、孤独が関係しているそうです。逆に人は話を聞いてもらえると心理的な安心安全を感じて組織全体が活発になります。生産性の高いチームではメンバー全員の発言量がだいたい同じくらいだそうです。つまり、成功するチームではメンバーの話をお互いに「聴きあって」いるということがグーグルの調査で明らかになりました。上司と部下の間、メンバー間で意識して会話を増やしていくことが更なるチームの業績のUPにもつながりそうです。
日本でも年明けからオミクロン株が急激に増えてきています。社員旅行などの全社的なイベントはもう暫く出来ない状態が続くかもしれませんが、会社としてもなるべく小規模なイベントは積極的に行い、組織として勢いをつけて来年度に臨みたいと思います。
 
4月には新人も加わり、新しい年度が始まります。2022年度は中期5カ年計画の最後の締めくくりとなる年です。第6次中期5カ年としての結果を残し、2023年3月の社員総会を、良い笑顔で迎えられることを楽しみにして2022年一年間頑張っていきましょう。
本年もどうぞよろしくお願いしたします。

2022年1月5日

株式会社エスピック 代表取締役 白川 満貴